日々の詩

昔々本当に昔、言葉を紡いで一枚の紙にしたため
ため息をついてはやぶり捨て、またしたためては読み返す
そんな事の繰り返しを楽しんでいた時代がありました。
素敵な詩を読む友をうらやましく思いながら、平平凡凡と文字を連ねるだけの私でした。
歌心のある人は素敵だと今でも思います。

誕生日に寄せて

この世に生を受けて
いくつもの季節をかさね
命を生み出し、育み
巣立たせた喜び
空になった巣が私の勲章

人が人である事の不思議
命の誕生はたぶん科学で分析できる
あなたががあなたであることの不思議は分析できない
宇宙の塵にも満たないこの命が
新たな命につながっていく不思議を
私は感謝で受け入れたい

そよぐ風の中で
走り回る子犬とたわむれる私
私が私であること
当たり前の繰り返しの中で
そんな思いが私に笑顔をくれる



祈り

私はここにいます
あなたの横に
あなたの手の届くところに

風の舞いに
木の葉が踊り
あなたの心を吹き抜けていく

立ちすくむあなたに
私の存在が小さな事はわかっています
風よけにさえなれないのですから

私はここにいます
あなたの横に
あなたの手の届くところに

つたう涙を拭くものを
差し出したとしても
あなたの心の痛みが
消えるとは思えないけれど

私はそばに立ち
あなたの横で
涙の乾くのを待ちたい



   
俳句七句
   横瀬 恭二

帆船の登檣礼(とうしょうれい)やつばめ飛ぶ

小屋入りや舅にかざす祭り傘

湿舌(しつぜつ)に舐められている梅雨日本

岬マリア開く御手の梅雨しずく

炎帝に犇(ひし)と抱かれ被爆句碑

茶髪子(ちゃぱつし)の反核署名ペン灼(や)くる

いなずまの句碑に龍(じゃ)の舞ふ十三夜


私が通うパソコン教室でご一緒させていただいている横瀬さんの
俳句を見せていただくたびに
私もいつか俳句を作ってみたいと思うようになりました。
五七五のなかに完結した世界があり,
無駄を削ぎ落としたすごさを感じます。
今は私もせっせと駄文をしたためていますが,
いつかそのうち良い文章だといわれるようになりたいと思っています。
パソコン教室に通うようになって出会った人たちのすばらしさに感謝です。





こぼれる笑顔


「さくらちゃんをあずかるの」

優しい声に顔を上げると

満面の笑みを浮かべた友がいる

さくらちゃんは孫

彼女はおばあちゃん

胸が熱くなるような気がした

人のつながりの確かさと優しさ

世代をこえて受け継がれていく愛

信じていいんだ人は人を

そんなことを感じた時間

幸せなんだ

わたしたち





ハウステンボスにて


木々の緑、けなげに咲く花
町のたたずまい
そこを通り過ぎていく人たち
パレードが通り
馬上の佳の国の人が微笑む
みんなも幸せに微笑んでいる
私たちも笑いころげて
幸せだった
夕暮れが訪れ
町はますます賑やかになる

・・・・・・・・

宮殿の前で寝そべって見上げる空は高く
魂が吸い込まれていくようだった
光を含んだ空は
暗さの中に可能性を秘めて私たちを包んでくれる
ちくちくと肌を刺す芝の心地よさ
この静けさを
かすかに聞こえてくる音楽がますます豊かにしてくれるようだ





さや

あなたが私たちの前に現れたのは

ほろ酔いの夫と夜の散歩に出かけたとき

おとなしげで、ひとみが輝いて

小さかったのです。

抱いてみますかと進められて「ええ」と答えた瞬間

あなたは私たちの娘になりました。

抱いた私の腕の中で満足げにくんくんと鳴くあなたは

暖かくて壊れてしまいそうでした。

私と夫への神様からの贈り物

パピヨンさやと言う娘